君が為に日は昇る

鈍い音を立てて、大地が揺れた。


「か…!」


天を仰ぐ男。先程より増した痛みに己の胸部を見つめる。


左胸から突き出した朱色のそれは死を意味する銀色。


背中に刺した刃は伏線。本来の狙いは体重と重力を持って、その刃を貫くこと。


男はもう一度天を仰ぎ、そして再び動き出すことはなかった。


━勝っ…た…。


心に訪れた安堵と平穏。彼は男の身体を離れ、立ち上がろうとする。


だがそれは叶わない。膝をつき腰を落とす清蔵。


━ああ。


もう立ち上がる力すら残っていないのか。背中に伝わる生温い感触がそれを彼に教える。


まだ。まだ逝くな。まだ逝くな。まだ済んでいないことがあるんだ。


━親父、お袋…。


死を前に別れをしなければならぬ。その方向は清蔵の故郷。手を合わせ頭を下げる。


━どうか、お達者で。


腕が、だらりと落ちた。そうして彼もまた、二度と動き出すことはなく。


最後は男として、侍として、息子として、その短い生涯を閉じたのである。