君が為に日は昇る

そして背中に走った激痛。清蔵が手にした刃を男の背中に突き立てたのだ。


「ぐ……!!!」


苦悶の表情を浮かべた男。しかし。


「は、はははは!」


それはすぐに嘲笑に変わる。確かに刃は男の背中に突き刺さっている。


だがそれはあまりにも浅く、到底命を奪うには到らないもの。


男は悪あがきもこれ迄と確信。己の腰に巻き付く煩わしいものを退かそうと手をかける。


もしかしたらもっと巧いやり方が幾らでもあったかもしれない。


そう考えながら清蔵は苦笑した。


否、これでいいのだ。きっと命を投げ出さなければこの男には勝てない。


━最後だ…。笑っていればいいさ…。


もう、声は出なかった。


もう最後だから言うことを聞いてくれ。腕、足、五体に全ての力を籠める。


もう何もいらない。背中から吹き出す血も、眼から流れ落ちる涙も。


━全部、ここで出し尽すんだ…。


ふわりと浮き上がる男の身体。清蔵は男を抱えあげる。


「あっ?」


男は何が起こったのか理解出来ていない様子で大地を見つめる。


━上げたら、後は落とすだけだよな。