君が為に日は昇る

━何故俺はこんな戦いに…来てしまっただろう。


死を目前にした清蔵の頭によぎる問い。


確かに生活は苦しかった。父と母は毎日汗水流し、必死に田畑を耕し、重い年貢を納め暮らしてきた。


そんな両親の姿を見て育った自分もそうやって暮らして行くのだと思っていた。


生きながら、殺された生活をして。


だが時代はそうではなかった。


幕府に反旗を翻す諸藩。命掛けで戦う侍。世を変えよう。新しい世を作ろうとする彼ら。


その中に、農民達は確かな希望を見い出していた。暗い闇を照らす光。


自分もそう在りたいと思った。世を変える手助けがしたいと思った。


でも、本当は違った。


━俺は、英雄になりたかっただけだ。


誰もが憧れ、敬服する、そうな存在になりたかった。だから連合軍に参加した。


連合軍に入れば、それで強くなれた気でいた。


何もかもが甘かった。


━俺は、ただの愚か者じゃないか。


おぼろ気な野心だけを抱え、自分を過大に評価し、戦いの中に身を投じた。


老いた両親を、故郷に置きざりにして。


この恐ろしい世界へ。