君が為に日は昇る

幸いなことに直木達は余裕の表情でこちらの出方を伺っている様子。


作戦ならどうぞ幾等でも立てなさいと言わんばかり。


ならばそれを存分に活用させていただこう。


「お前らよく聞けよ。」


上条は知り得る情報のほんの一部を二人に話始めた。


「奴らの得物は、鎖鎌だ。」


鎖鎌。四尺程の鎖分銅による遠距離攻撃。鎌による近接攻撃が可能。


習得することが難しく、実戦で見ることは非常に稀な武術だ。


鎖分銅は遠距離から肉をえぐり、身体を絡め取る。避けた先には鎌。


戦い難い相手には間違いないだろう。


「だが、勝てる。」


上条は、そう言い切る。


実際は付け焼き刃で勝てる相手ではないだろう。成す術もなく殺される可能性が高い。


だからこそ余分な情報を与えるより、自らの戦い方を貫いた方が余程良い。


みっともない姿と侮蔑されたとしても最期まで、あがき、もがいて泥くさく戦い抜く。


「いいかお前ら。全てを賭けろ。」


それこそ侍だと、前を向いた上条の背中が語っている。


狭い路地の中で今、再び戦いが始まろうとしていた。