君が為に日は昇る

「…くそが。」


優勢は束の間の夢。一気に状況は窮地に追い込まれた。


上条は小柄な男を睨みつける。


「やってくれるじゃねぇか!梅花!」

「いやいや怖い怖い。ちなみに僕のことは直木隊長と呼んで欲しいですね。」


幕狼隊には局長、総長、副長の下に少数の部隊を統括する隊長が数名いる。


直木梅花(なおきばいか)。彼もその一人である。


連合で生き残ったのは上条を含めて三人。


しかも戦力には程遠いだろう二人。長槍を杖代わりにした老人。青ざめた顔をした若者。


対して相手は直木とその部下二名。二人に見覚えはなかったがかなりの使い手であるのは間違いないだろう。


果たしてまともに戦えるかどうか。


「おい。お二人さんよ。覚悟はいいかい?」


直木から若干視線を外し、二人を見据える。


「奴らは恐らくあんたらが見たことのない技を使う。」

「覚悟がねぇなら隠れてな。隙を見て他と合流すりゃあいい。」


馬鹿にしたような言葉。二人は上条の眼を見つめ返す。覚悟はあると言わんばかりに力が篭っている瞳。


━こいつら。


上条は嬉しそうに笑う。


━まだ、勝機はあるかもしれねぇな。