君が為に日は昇る

「覚悟すんのはお前らだって。俺らを舐めすぎなんだよ。」

「なっ!?」


何かが引き裂け、そして砕けたような音。同時に悲鳴があがる。


音の発生源は並んだ障子と薄い木製の壁。


それらを突き破り出てきた長槍が隊士達を四方から串刺しにしていた。


長屋から出てきたのは連合の兵達。息を潜め、気配を押し殺し、敵の到来を待ち伏せていたのだ。


兵達はかろうじて生き残った隊士達に次々と、とどめを刺していく。


彼等を死地へと誘ったのは慢心、油断、過剰なまでの自尊心。


挑発により嗅覚を無くした狼を狩るのは容易いことだった。


「姑息だと言ってもらっても構わねぇ。負けるわけにゃいかないんでね。」

「化け物揃いの狼相手にゃこれでも足りないだろ。」

走るのは悪寒。震える程の殺気。兵達がどよめき出す。


「なぁ?」


曲がり角から出てきた小柄な男。追従する数人の隊士と比べると身長差が際立つ。


「いやいや気づいてたかね?油断した所を潰してやろうと思ってたんだがのぅ。」

「流石は上条政次か。いやいや久しぶりだなぁ。」