君が為に日は昇る

「う…」


━目が覚めるとそこは暗い森の中だった。見覚えがある。ここは確か黒間の山頂の…


「目が覚めた?父上ったら加減の効かない人なんだから。思いっきり叩かれたのよ?」


痛みの残る首筋に手をあてる。
彼は台車の上に乗せられ、山を登っていた。


隣では台車を押すお雪。周りには女衆や老人、子供が荷を背負い歩いている。


「…頭領は?」

「もうすぐ山頂よ。そこを越えれば後は下り。もう少し休んだら台車抑えるの手伝ってね?意外と大変なのよこれ。」


お雪は笑いながら言った。それは無理をしているのがすぐに分かるような、そんな笑顔で。
頬には涙の痕があった。


「…頭領は?」

「山を下りたらおばあちゃんの家が近くにあるの。私達はそこに行きましょう。みんなそれぞれ故郷を目指すみたい。」


質問に答えようとしないお雪。夜太は台車を飛び降り、駆け出した。


すぐ近くには辺りを一望出来る崖がある。そこまで行けば村の様子を見ることが出来るはずだ。


━なんで。なんで。なんで!

━なんで俺を!俺は戦う為に育てられたんじゃないのか!頭領!

━貴方はその為に俺を拾ったんじゃないのか!

━なんで俺を…