芹澤と仲がよかったのは前城だ。

前城はうちのクラスの俺の席の前で、1日中泣いていた。


午後になる前には、保健室に行って、そのまま帰ったらしい。



芹澤の机には白い菊のささった細長い花瓶が置いてある。


まるでいじめでめ受けているような錯覚を受ける。

いじめと違うのは、当の本人は一緒学校には来ないということだ。




すっからかんの机。

いつかは芹澤も忘れ去られる。


たとえ、どんなに仲がよかったやつでさえ、



忘れてしまうものだ。





愛し方を忘れるのと同じくらい、


それは悲しくて、辛くて、


情けない。



そして、心の淀みに拍車をかける。




存在が消えたところで、

蟠りは残ってしまうものだから。