その日の前夜~地球最後の24時間~

 さすがは証券マンだけあって、どの産業が活発かは国境に関係なく把握しているようだ。

「その生産量つったら尋常なもんじゃないよ。アメリカ軍を一式新しく揃えるのかってくらいのもんだ。それに、アフリカ諸国とかカザフスタンなんかの景気もやたら良い。ここらには何があるか知ってる?」

「何かって……」

「ウランだよ」

「ウラン、て原子力の」

「そう。でもな、原子力発電所の稼働率が目立って上がってるわけじゃないんだ」

 原子力発電の燃料以外にウランの使い道を探せば、それはひとつしかない。

「ここまで言えば分かるだろ、核兵器を大量に作ってるんだよ」

「まさか」

 世界はとっくにアメリカという国に覇権を握られている。これ以上軍事抑止のための核を保有する理由が見当たらないことは、世界情勢に疎いあさきちにだって分かっていることだ。

そのアメリカの好景気についてあさきちは愚痴をこぼした。

「でもアメリカは良いね。日本は税金上がって、こっちゃアップアップしてるってのにさ」

「そりゃそうだ。その税金、どこに流れていると思う?」

「どこにって、借金返してるんじゃないの?」

「違うんだなそれが……」

 そこまで言うと、常連の証券マンはタバコに火を点けて大きく煙を吸った。

「アメリカに融資してんだよ」