その日の前夜~地球最後の24時間~

「べつに」

 平和なのが異常だと言うこと自体、平和主義のあさきちには理解できない。それでは話が広がらないと思ったのか、証券マンの声はさらに熱を帯びた。

「いいか、風が吹けば桶屋が儲かる、戦争が起きれば軍需産業大国が儲かる。軍需産業大国ってのは当然アメリカだよな?」

「まあ、そうだろうね」

「じゃあアメリカは景気が悪いのか……?」

 そう問いかけられたあさきちは、昨今のニュースを思い浮かべてみる。

かつての日本のバブル景気をも遥かに超える好景気で賑わうアメリカの経済情勢がそこにはあった。勝ち誇るような証券マンの顔。それこそが話の本題なのだろう、どうだと言わんばかりの口調でまくしたてた。

「凄い景気だろう。それも、どの産業が伸びてるかって言えばチタン、セラミック、電子機器、どれも軍事関係のものだ」