「何不自由なく暮らせるのは誰のおかげだと思ってる。何でも買ってやってる、何でも与えてきた。俺がいなきゃお前なんか生きていくことも出来んのだぞ」

「じゃあお母さんを連れてきてよ!」

 思わぬ娘の強烈な反論に父親はたじろいだ。

「何でも与えてくれるなら、今すぐ連れてきてよ!」

 ずっと胸の中に満たされないもの──

「やってるとか、そんな気持ちであたしを育てないでよ!」

 それは無償の愛なのだと──

(あたしは……孤独だ……)


 早百合はこのとき初めて気がついた。