いつもはそんな話に食いつく早百合だったが、今日は何となく上の空で右から左に内容が流れていって頭に入ってこなかった。

 色素が抜けきって金髪になったボロボロの髪の毛をもてあそんでみたりしている。

(つまんないんだよね)

 いつもつるんでいる連中を、そして自分を時々冷めた目で上から見下ろす自分がいるのを早百合は感じていた。

 そんな時どうしようもない虚脱感と孤独感、そして将来に対する漠然とした不安などが混沌として渦を巻き、胸を苦しくさせるのを抑えることが出来なくなる。

 それらから逃げるためにこんな連中とつるんで無理に笑って強がっているのに、そうすればするほど逃れられない現実が重くのしかかってきていた。

 笑っている友人たち、そして彼氏の淳二。本当に楽しいのだろうかという疑問が浮かんでは消える。しかし自分だけ楽しくないのは孤独で寂しすぎると、また早百合は一緒になって笑うのだった。

 孤独が怖いのではない。孤独だと人から思われるのが怖いのだ。

(たぶん……皆一緒なんだよ)

 それぞれが恐れている他人の目。その目に自分の本心を悟られないように悲しく笑うのだ。それが証拠に誰も一人でこんなコンビニの前で不良を気取って飲酒や喫煙はしない。それをすれば逆に孤独だと思われるからだ。

(生きてて楽しいのかな?)

 その心の問いは友人に向けられるとともに自分にも向けられていた。