家に着くと、最初に先生と母だけが話すらしく、私は自室へと追い出された。

 不安

 一体、母は先生達に何を話したのだろう?

 先生達はどこまで知ったのだろう?

(先輩…)

 泣きそうになるのを堪え、これから降りかかるだろう先生達の質問に備えるように私は冷静になろうと努めた。

 そしてやっぱりその後、先生達の回りくどい質問攻めが待っていた。

 私は愛想笑いを顔に貼り付けて曖昧な返事を返し、返答につまれば『わかりません』『覚えてません』ととぼけた。

 先生達は私の言ってる事を信じてないだろう。

 けれど、私はあくまでも“やっていない”と言い張ったのだ。


 誰の為に?


 先輩? 違う

 先生? 違う

 母親? 違う


 “自分”の為だったと思う。


 先生達は明日先輩にも確認すると言って帰っていった。

 とんだ大事になってしまったなぁ…

 リビングには母と私が二人きり。

 父は今日は仕事でいなかった。

 これが不幸中の幸い、とでも言うのだろうか?

 その後、母にも質問された。

 こっちもさっきと同じ方法。

 愛想笑いまではしないが、“嘘”で切り抜ける。

 最後に母が言った一言。

「優華の事、分かってたつもりだったけど、もう何を考えてるのか分かんない。もうあんたの事が信じらんない。この子誰?本当に私の子?」

 その言葉は心に重くのしかかる。

 子供が親に突き放された時の気持ちを初めて味わった。

 子も親の事が信じられなくなる瞬間。

 それじゃあ、今から何にすがって生きていけばいいの?

 目の前が真っ暗になる。


 自業自得


 そんな言葉が頭の中に、大きく、重く、浮かび上がってきた。