「どうみたって、40すぎでしょ!?」

ふたりでああだこうだと言い合っている

うち、ばちっ・・・!!とその男と目が

合った。


「もっ、もっ、ももも、もしかしてっ

 もえっ娘さん!?もえっ娘さん!!」


男はわき目もふらずに、こちらに向かっ

て突進してきた。

「はぁっ!?  いえっ、ちっ、違い

 ます!ひっ、人違いですっ!!」


二人はその場から駆け出すと、大慌てで

自転車に飛び乗り、後ろを振り返らずに

猛ダッシュした。

「もえっ娘さぁああ~~~んっ・・!」

遙かかなたから、叫び声のような声が聞

こえた。

何度も角をまがり、ひと駅ぶんぐらい走

ったところで、自転車を漕いでいた友達

がやっと振り向き、後ろにのっている茶

パツと、目を合わせて大笑いした。

「あんたっ、なに”もえっ娘”ってええ

 ~!!」

「うんもうぅ・・・、あの名前で呼ぶな

つぅう--のっ!!」

「あいつの呼び名は?」