聖は、あー、だとか、ったく、だとかつぶやき、私を見た。



まっすぐに、しっかりと。



私もそれに応えるようにして、微笑みながら聖を見る。




「皐月」



「?」




次の瞬間、私は唇を奪われた。



いきなりだったので、私はなにもできずに固まる。



そして、唇を離してから、聖はニヤッと意地の悪い悪魔のような笑みを浮かべた。




「ちょっ………あ、あああんたねぇ…………」




そして、顔を真っ赤にしながら聖を睨む。



あちこちから妙な視線を感じつつ、イスから立ち上がった。



そして、おそらくクラスメート全員の注目の中、



私達が初めて出会ったときの、あのキスのときのような大声で、



でも、あのときとは違う、ちょっぴり幸せな気分で、





………私は叫んだ。




「こんなところでいきなりキスするなっ!!!

この変態性悪男ぉー!!!!!」




         【完】