聖は、こけた啓太君を鼻で笑うと、再び私に視線を戻した。




「で、まだ解けないのか?」



「あ、あとちょっとよ!!」



「なるほど、お前のあとちょっとは問題用紙半分以上か」



「う………」




その通りである以上、何も言えない。



私は頭に手をやりながら、うなり始めた。




「そこは正弦定理と余弦定理の複合だよ」




後ろから、誰かの声がささやかれた。



その言葉で、私の頭の中の電球がピカッと光った。



それと同時に、聖の表情が不機嫌なものに変わる。




「蓮、お前はこいつを甘やかしすぎだ」



「そうかな?

女の子は甘えてきた方がかわいいと思うけど」




そんなことをさらっと言うのは蓮君。



相も変わらず美少年スマイルだ。