「ほ、本当に行くの?」




私は、隣に立つ聖を見た。



その聖はというと、目の前のビルの最上階に視線を送っていた。




「当たり前だ。

俺はこんなことを黙って見過ごせるほど人間ができてないからな」



「たしかに見過ごしちゃいけないかもしれないけどさ…」




そう言って、私も目の前のビルに目を向ける。



高層ビルの中でも、かなり高い方だと思われるビル。



私は入り口に書かれた社名を見た。




―八神コーポレーション―




聖のお父さんの会社だ。