アホロートル

理髪店のアルバイト収入だけで、食べていけるはずなどない。

預金通帳に振り込まれた多額の仕送りを見て、ため息をこぼす、深夜3時、3分前。

無駄としか思えない学費のことや、生活費。そして、手のひらの中の錠剤と、自分という存在にかかるお金。

錠剤を水で流し込むと、栄介は死んだように眠りについた。

最近、夢を見なくなった。夢を見る余裕がなくなってしまったのだ。頭の中で。

眠ると言う行動が、栄介にとっては「死」のような存在であった。

無になる瞬間。

昨日のこと、今日のこと、明日のこと、すべてが無になる瞬間。