僕に後悔はない。
彼女に『おめでとう』と言えた。
ただ、それだけでいい――
長かったぼくの初恋はこうして終わりを迎えた。
これでやっと、僕は新しい恋ができるのだろうか?
それとも、これから先もずっと彼女の影を探し続けるのだろうか――
彼女の柔らかな手の感触が熱を帯びて両手に残り、また泣き出しそうだった。
彼女の姿とあのほほ笑みが僕を支配し、焼きついたかのように離れない。
この日がいつか懐かしく、そして淡い思い出となるのだろうか……
――今はまだ、わからないよ……
僕は立ち止まって、もう一度彼女のほうを見た。
フラワーシャワーと初夏の木漏れ日の中を、彼女がゆっくりとあの人に手を引かれて歩いていく。
その姿はもう、ずっと遠くて……
僕は伸ばしかけた手を、すっとポケットの中にしまいこんだ。
(終)
彼女に『おめでとう』と言えた。
ただ、それだけでいい――
長かったぼくの初恋はこうして終わりを迎えた。
これでやっと、僕は新しい恋ができるのだろうか?
それとも、これから先もずっと彼女の影を探し続けるのだろうか――
彼女の柔らかな手の感触が熱を帯びて両手に残り、また泣き出しそうだった。
彼女の姿とあのほほ笑みが僕を支配し、焼きついたかのように離れない。
この日がいつか懐かしく、そして淡い思い出となるのだろうか……
――今はまだ、わからないよ……
僕は立ち止まって、もう一度彼女のほうを見た。
フラワーシャワーと初夏の木漏れ日の中を、彼女がゆっくりとあの人に手を引かれて歩いていく。
その姿はもう、ずっと遠くて……
僕は伸ばしかけた手を、すっとポケットの中にしまいこんだ。
(終)



