初恋 ~キミが僕に残したもの~

結局、最後の最後まで彼女に好きだと言わないでいた。

いや、言えなかった。


言う機会がなかったわけではなかった。

勇気がなかった。

傷つくのが怖かった。

女々しいと分っていても、男として見てもらえなくても、僕は彼女と繋がっていたかった。



――でも……



彼女は知っていたのかもしれないと思った。


確証はない。


ただ、そんな気がする。



彼女は何も言わなかったけれど、気持ちは伝わっていた気がする。

だから、きっと笑ってくれたのだと思う。

最高の笑顔を僕に向けてくれたのだと思うことにした。



彼女という世界を失ったこれから先の僕が、まっすぐ前を向いて歩いていけるようにと――それは彼女が僕にくれた最後の贈り物(プレゼント)だったのかもしれない。