掴んで改めて見て、しまったと心底後悔した。


ゆっくりと彼女のほうに顔を向ける。


彼女も僕が取るとは想像すらしていなかったかのように、とても驚いた顔をしていた。

しかし、すぐに嬉しそうにぼくを見つめてほほ笑んだ。



――どうして?



やり直しをするべきだと式場の人が言った。

それは当然の申し出だった。
周りの目もそういう威圧的な視線を送っている。


でも、彼女は首を振っていた。

これでいいのだと言わんばかりの彼女の態度に、式場の人も、そして彼女の伴侶も当惑した表情を見せた。


その様子に彼女の顔も少し曇ったのを、僕は見逃せなかった。