私は猫と旅をする

「着いてきな」


大朔は重そうな体を「よっこらしょ」と立ち上がらせ、ずんぐりむっくりな体を揺らしながら、ゆっくり歩き出した。私も追いかけながらついて行くと、大朔は私が人間だって事を忘れているだろうと思うほど、塀と塀の間の細い路地や1本橋の丸太の橋や、枝だらけの木のトンネルを潜ってひたすら歩き続けた。


だんだんと、内心思いだした…「私をからかってないか…?」大朔は時折振り返ってはどんどん歩いていってしまう。

汚い毛並みに重そうな体、丸い体に短い足。

大朔はいかにもノラ猫だった。


「ねぇ……まだ?」


「疲れたか?じゃあそろそろだな」


はい?意味わかんないんですけど…連れて行くなら早く連れてって。

足の裏が痛くなって来た…。


「おい。この草村を抜けたらすぐだ。離れるなよ」


目の前を見ると、私より背の高い草が、無数に生い茂っていた。


「ここ…通らなきゃダメなの?もっと整備された道はないの?」


「お前はだからダメなんだ」