私は猫と旅をする

「猫が何で喋るの!?ってか…?最近の若いもんは喋る猫も知らねーのか」


「あっ……普通…知らない気が……」


「本当か?俺は今年で65ニャンになったが…」


「65ニャン!?」


「あぁ?まぁ、年齢だ。65ニャンになるまでに何人もの人間と話してきたぞ。でも、最近の奴らはみんな生き急いでるみたいに歩くのも早いし、足を止めて四季を感じたりする事もなくなったな」


「…四季…かぁ」


「草花が咲きだして綺麗だ!とかな…昔は四季を見てみんな生きていたんだけどな……で、お前は母ちゃんと喧嘩をしたんだっけか?」


「…うん」


「……ケツ、汚れるぞ」


私はまだ泥だらけの地面に尻餅をつきっぱなしだった。立ち上がるとお尻は泥でベトベトになっていた。「あぁ…」そんな私を見て猫はぶっきらぼうな顔をするだけだった。