私は猫と旅をする

「また新しいお客さんかね、大朔、今回は可愛いお客さんだね。楽しんでいって下さいね」


「ありがとうございます。あっ…傷、痛くないんですか?こんなに薔薇を植えたら歩くに歩けない」


「もう平気だよ。慣れた慣れた」


ハハハって笑うおじいさんはとても優しい雰囲気だった。


「お嬢さん、ここに入るのかい?」


おじいさんはお城を指差しながら私に聞いてくる。


「う〜ん。よくわかりません…大朔についていくだけです。」


「そうかい…大朔、丁重におもてなししなさいよ。」


「あぁ」


「お嬢さん、気をつけてな」


「はい。」


おじいさんはまた薔薇を分け入って元の場所まで歩いていく。そして、また大朔は歩き出した。