すると俺の予想を覆す事態が起こった。
『だよな。ほんと悪かったな。』
あの稜哉が俺に素直に謝ったんだ。
「でも譲るのは今回だけだぞ。次は絶対に譲らねーからな!!」
『珍しく雅人が熱いね。まあ次も譲る気はさらさらねーけど。』
《一瞬素直になったと思ったのに……
まぁ生意気なのは何が何でも変える気がないってことか。》
『話はもういいか?』
「ああ。」
『じゃあ切るぞ。』
そう言って稜哉から電話を切ってきた。
それと同時に窓も閉められた。
《それにしてもすごい自信。
どっからそんな考えが出てくんだよ。》
自然に笑いがこみ上げてきた。
ほんと稜哉は面白いやつだ。
俺はケータイをポケットにしまい家に向かって帰った。