「もう家に着いちゃったんだけど。」




つまらなそうな顔をしながらちょっと怒った様子の姫菜ちゃん。




そんな顔もかわいいと思ってしまう。




「気づかなくてごめんね。それじゃ。」




軽く手を振る。




「ううん。ばいばい。」




そして姫菜ちゃんは家の中に入っていった。




「ただいまー!!」




姫菜ちゃんの声がかすかに外まで聞こえてきた。




「姫菜おせーよ!!どっかで油でも売ってたのか?」




それに対抗するかのように稜哉の声まで外にまで聞こえてきた。




すると俺の近くで立ち話をしていた近所の人達の話が聞こえてきた。




「神崎さんのお宅はいつも楽しそうね。」




口に手を当てながらにこやかに話している。




「そうよねー。再婚したって聞いているけど子ども同士は仲いいわよね。」




そんな近所の人達の話を聞いていられなくなった俺はとっさにケータイを制服のポケットから取り出した。