「うん……知ってたよ……」




私は思わず明日香から目を反らしてしまった。





「ひめ。雅人君が先にバトンとっちゃったよ?」




「うそ。」




“俺を優先的に応援してよ”




さっき雅人君が言っていた言葉が妙に頭から離れない。




「ひめ。雅人君を応援しないの?」




“優先的に”




私はゆっくりと息を吸った。




「………………」




「あっ!!今稜哉君にバトンが渡された!!」




今の明日香の言葉で私は息を吸うのを止めた。