「…その工場って
どこなんだろ…」
―――… 私は、何となく言ってみる
「もう閉まってるんじゃないかな
こんな時間だし…
それにさっきも言ったけど
作ってる人が
直接売ってるわけじゃないから…」
「わかんないよ
…ウチで作ってる、茄子の漬物
田舎だと、あの作り方で
おばあちゃん、
お土産屋さんに出して
売ってるもの
それ、毎日私、食べてるし」
「……だから
あんなに美味しかったんだ」
「食べてくれたの?!」
「もちろん!
…母親……
何も食べてなかったらしくて…
アニキが米、炊いて
…炊けるのに驚いたけど
"青山に習った" とか言って
皆で久しぶりに、
お腹いっぱい、ご飯食べたよ…」
マキちゃんは
可愛い顔で、笑ってて
私も、笑った
――…お母さん
やっぱ、すごいや
まるっとだよ。 まるっと。


