―― 私は当たり前みたいに
その後を追った
『…来んな』
『彼』が
ザッと立ち止まって、少し後ろを向き
そう言った
―― 声が本気で 怖い
…でも
私は、頑張って言い返す
「…わ…私の
"ししょー"の事だもん!」
『…ついて来ないで下さいお願いします』
……………ヤバイ……
本気で嫌がってる
少し強い語尾に、体が、硬直した
「灰谷君!」
「…マキちゃ…」
マキちゃんが少し髪と息を乱して
私の横に立つ
『彼』は
『…アンタに怪我させたら
俺が真木さんにぶっ飛ばされるし』
そう言って、先に進んだ
横にある蔵を
少し興味ありそうに見上げながら
マキちゃんはそれでも追い縋って
声をあげる
「…責任は自分で取る!!
だからお願いよ!!」
……言って駄目だと思ったのか
『彼』は いきなり
ダッシュし始めてしまった
――本気だ
マキちゃんはそれを追い
私も後を追った
門の木戸を開けて
そのまま右に消える
マキちゃんが立ち止まり
走って行く方向を確かめてて
私はその背中に、ぶつかりそうになった
壁の大きい住宅地
凄く静かで、音が響く
右に曲がったのが見えて
再び私たちは走り出した――


