Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



四角い針金を伸ばすみたいに
画像の上に線が動く

それはどんどん拡大されて行った

『処理するよ』


その言葉と一緒に
画像が鮮明になる


―― 灰色の門 白い鉄柵
その影に


………ピンク色の半帽
白目が多い、小さな目

赤いチェックの半袖……



『…降ろしてもいい?』

シノは、頷く


四角い帯の中に
青が埋まって行く
保存しますか?を"Yes"にして
また元の画像の画面に戻った


そして『彼』は
小さくなった別窓を開いて
また掲示板に戻る


スレッドの中では
青山さんのベースの詳しい概要とか
身内に何か知ってる奴いないかとか
凄い速さで文字が埋まって行き
『彼』が立てたと言うそれは
あっという間に終わって
次のスレッドが立った


『…かなり奴の姿は小さいけど
誰かが遅かれ早かれ
騒ぐと思う

動くならその頃だ』

ユリちゃんが
「……もし動かなかったら?」と
聞くと

『彼』は
少し屈んで、まだ画面を見つめながら

『…その時は 俺が動くよ』

そう言って、笑った



私は
何となくテーブルの場所に戻って
シノは床に置いてあった袋から
ポテトチップを出してくれた

ユリちゃんも隣に来て
何か考えてる
携帯を取り出して、弄り始める

……マキちゃんが
立ち尽くしたまま


―――― 怒ってる
美人が怒ると、迫力が凄い


それを見ていたら
『彼』はシノに『ありがとう』と言って
台所横の玄関に立った

そして
そのまま扉を閉めて、外に出てしまった