皆、示し合わせたみたいに
『は〜い』と返事
"お腹空いた〜"とか
"昨日の、笑サタ見た〜?"とか
適当な振りして
『失礼しました〜』と職員室をでる
さかさかと昇降口
靴を取りながら、しゃがんで
輪を作った
「…やっぱりさ」
「うん」
「見付けてあげたいよね」
『うん!!』
「助けて貰ったもんね…去年」
「うん……」
「でもどうしよう
誰がとったかも分からないし
チラシ配る?!」
「いいかもそれ!!」
「でも、ヘタに騒いで
犯人刺激するのもコワくない?!」
「あ〜〜… そうかあ……」
「両方いるだろうけど…
困らせようとやった奴か…
本当に青山さんが好きで
大事なものが欲しかったのか…」
「でもこれって
どっちも青山さん困るよね?!」
「青山さんのキモチとか
見えてないんだよきっと…」
――― そして皆は
しゃがみながら、長い時間、
考え込んだ


