「…お母さん
もうちょっと韻を踏むとか
感覚あけて、答えるとかしようよ……」


お母さんは笑いながら
麦茶のポットを持って
一杯注ぐと、一気に飲む

そしてエプロンを外して
キッチンの椅子に座った


「……やめたくないとか
なかったの?」

「そりゃあね〜
でも、好きな人の子供だよ?
女はさぁ、やっぱり恋なのよ

テレビとかも、見てご覧よ

外国の人の中には
おばあちゃんに近い年齢になっても
ロック歌手やってる人もいるけど
日本だと、ジーナ&ロケットとか
恭子さんとか、少ないじゃない」


「……そう言えば」


「結婚して、恋が叶って…
急に歌が
力弱くなる人もいるし
凄いミュージシャンの女の子程

…………歌いたい事が
無くなっちゃうんだろうねえ」


「……歌いたい事 」