朝、
すっかり明るくなった9時

本当に『マキちゃんの兄』が
私を家に送り届けてくれた

玄関先で
お辞儀を交わして
お母さんが引き留めて
"ナスの塩漬"をマキちゃんに渡した



「…お母さんも
もっとイイモン渡せばいいのにー
何で漬け物なのーー」


私はシャワーを浴びて
すっかりスッキリ

お父さんは出掛けて
弟がプールに行った、広い居間で
ソファーに横になりゴロゴロする

「こういう朝はね
お母さんも寝てないだろうし
ご飯も食べてないよ
きっと

あれなら、そのままご飯よそえば
すぐ、食べられるでしよ
…渡す時に
話すキッカケにもなるじゃない」


…… びっくり

「…ウチにあって安いから
あげたワケじゃないんだね…
バット持って
痴漢捕まえた女とは思えない…」

「アンタ!
それ人に言ったの?!」

「バット持ってる部分は
省略して…」

「……ギリで許してやろう」


「ねえ お母さん」

「んー?」


「…お母さんは何で
楽器やめたの?」





「アンタが出来たから」




―――― ソファーから、起き上がった