「…青山とかには、話したの?」
私は首を、横に振る
「俺に聞いたって事は
遠回しいらないって事かな」
…少し時間を置いてから
ちょっと覚悟して、頷く
「…はい」
「…それはさ 多分
良い物があるから、期間を待って
ユカちゃん達の、
変化が見たかったんだと思うんだ」
「変化」
「うん
…んで、三ヶ月経って
練習はして、上手くなったけど
……んむ〜
俺さ、練習するのは
上手くなる為にするんじゃなくて
『いつかこれをやりたいな』って
思った時に
それを即座に出来る様に
するもんだと思ってるのね」
「…………」
「ある日突然さ
テレビで
美味しそうな料理作ってるの見て
これ食べたい!って思った時
包丁を握った事も無い人が
それを作れるわけが無いわけでさ
俺は、やりたい!って思ったら
すぐやりたいからさ
社長になって、お金稼いでる人は
もしかしたらあかつきには
月旅行をしたい!と
思ってるかもしれないし…
…何言ってるかわかんなくなって来たな……
あ!これだ!
え〜と、曲をね?
思い付いた時に
その通りカッコ良く、弾きたいのよ
じゃないと
折角、俺に下りて来てくれた曲なのに
俺の腕が足りないせいで、
カッコ悪くなるのは
可哀相じゃん?」
「……なんか」
「うん」
「…思った事も無かったです
そんな事……」
「…俺より上手い人はさ
腐る程いる
でも、俺を選んで
やって来てくれた訳だからさ
それに答えないと
特に俺なんか、
ギターしか弾いて来てないわけだしね
…働かないと、そんな自分を
生かせて行けないし
そんな俺を頑張って支えてくれた
カミさんの努力も台なしになる
だから
大学に行って、色々な事に出会って
今までとは違う曲が降りるのを
いつか降りて来る、
その曲を弾いてやる為に
練習しながらいるのも
悪くないって、俺は思うんだ
……ね
タカコちゃん」
後ろに、マキちゃんが
いつの間にか、立っていた


