朝から
どこか家の近所の学校でも
運動会があるらしくて
花火の音で、起きた
私達は三年で最後
それに元来、お祭好きな学校だし
応援団も競技も
例年通り、かなり盛り上がる
「武藤先輩!!がんばってー!!」
一年の女子のコールに
リレーのエリアから
武藤が親指を出す
そして、歓声
「……武藤ってホントに
モテてたんだね」
「だから言ったじゃ〜ん」
ユリちゃんが笑う
「葉山さーん!
後で一緒に写真撮ろうー!」
「えっ!あ!うん!!」
向こうは三人組みで
手を振りながら去って行ったのは
別のクラスの女子だ
同じ実行委員やってて、仲良くなった
今回
普段あまり喋った事の無い人とも
結構、話した
卒業も少し前になって
新しい友達が出来るとは
思ってなかったなあ…
―――― 武藤は
ビリ近くから、
もの凄い巻き返しをして一等を取り
クラスの大歓声を浴びた
ヒーローインタビューでは
マイクに向かって
『…僕の今回の走りは
『Azurite』に捧げまっす!!』と叫び
大爆笑と、口笛と、拍手が沸き上がった
校庭の、クラス席に戻って来た武藤は
「…本気で言ったのにィ」と
私とユリちゃんの横で呟き
ユリちゃんが、ケラケラ笑う
「…葉山、
あれから、あの人と会った?」
「…んーん
何か忙しいみたいで
携帯も、鳴らないから…」
「…そか…
ま、しょーがねえよな」
「…しょーがないよ」
――― 多分それで
『彼』は会いに来てくれたんだと思う
「…『持ってて』って言うのは
また、取りに来るからだよね』
「だよ。」
武藤は
「ちょっと行って来るわ」と立ち上がり
「飯買って来る」と言った
「…ちょっと待った!!」
私とユリちゃんは
同時に武藤のジャージを掴む
「お母さんが、大量のおいなり
作ってくれたから
一緒に食べよう!」
「ウチもオニギリ、凄い量だから…
標準仕様がこれだから
私太るのよね〜…」


