Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜




『…あの子
漫画とかゲーム、好きだから
そういうお話考えるのは
得意なのかもしれないねー』

「…むうぅぅ」


電話口

"ボウズ行くぞ"と
少し遠くから、アニキの声


「……あ! アズさん!」

『はい!』


「ウチのクラスに
『Azurite』のファンクラブの
ナンバー3の男子が居たの!」


『!? マジで?!
話してみたいーーっ』

「アハハハハ
気絶しちゃうよ、きっと!!」


すると、受話器の向こうから
再びアニキの声


『…甘いな
ファンクラブNo.1は オレだ 』




「………ええええええ?!?!」

アズさんと私は
二人一緒に絶叫

そして、なんかガヤガヤと
英語っぽい、人の話す声がして

"ゴメンな、また時間作る"

"ユカぁああ!

お母さんに茄子ありがとう
スッゲー美味しくて
ご飯二杯食べましたって
伝えて下さい!
またあああ!!"と

電話は切れた




――― 台所から
お母さんの声

「電話、誰なのー?」

「アズさん!
無事到着の報告くれたっぽい」


ズドドドドと
お母さんが、玄関先まで走って来た

「うお!もう切れてるって」

「何でよおお!!
お母さんもお話したかったのにいい!」


「何か忙しいっぽかった

それに
こないだ送って貰って来た時
話したじゃんよ!」

お母さんはブツブツ言いながら
エプロンで手を拭き
台所へと戻る

そしてポツリと

「――……アズさん、綺麗だったねえ 」



「…あ…お母さん!!
アズさんが、茄子ありがとうって!
今、言ってたよ!」


そういうとお母さんは
ちょっと自慢げな笑顔をした