教室に戻ると
まだ先生は来ていなくて
セーフ と、
武藤が私のナナメ後ろから目配せ
私達の他にも
まだ教室に、
笑いながら走り込んで来る
クラスメートがいたから
私達ふたりが、
悪目立ちする事は無かった
ユリちゃんが
そんな私を、少し見てたけど
私の着ている革ジャンを確認して
私が、"『彼』が来てくれた"
そう言ったら
凄い驚いた顔をしながらも
まるで自分の事みたいに
嬉しそうに、笑ってくれた
そんなザワザワした中
源爺が教室に入って来て
日直がすぐに立ち上がり
「礼」をし
皆もそれに倣う
先生はゆっくり、出席を取り始め
欠席者の名前になると
一旦、止まる
「……真木や、山中は
専門学校の、集団下見か」
「 はい 東京行ってます 」
学級委員の、笹本が答えた
「…わかりました
それでは187ページから」
教室に
教科書を開く、静かな紙の音が拡がり
その時、開いた窓から
少し強い風が入って来て
皆、髪を抑えたり
パラパラめくれまくるノートに
手を置いたりした


