「……葉山…!!」 コソッとした大声 校門の柱と 植え込みの間の影に、しゃがんだまま 武藤が顔を出した 「灰谷さん 授業が始まるまでには 戻って来るって言ってたからさ」 武藤はまだ、 興奮した顔してる 「…灰谷に…会っちゃったよ…俺 …でも ―――良かったな! …葉山 」 私は腕までスッポリ隠れてしまう袖で 何回か目を擦りながら 赤い顔で、頷いた そしてチャイムの音 「うわ 次 源爺の英語じゃん 葉山 走れ!!」 「…………うん!!!」