『…ユカ、編み物出来る?』
「……え…やった事、ナイ…」
『…お前に聞いた、俺が馬鹿だった』
「や…やれば出来るよ!…多分…」
『…じゃあセーター編んで』
「…セーター? 」
『… 白 』
「わ…わかった……」
『…時間なかったら
無理しなくていいから』
「… つ 作る!!!」
『…着られるの宜しく。』
「………!!
絶対作ってやるから!!」
笑う『彼』は
私の頬っぺたを引っ張り
メットを被って、エンジンをかけた
大きな音を立て
次にグルッと旋回し
『彼』が走って行きそうになる
「あ… これ!!!」
私は急いで
貸して貰った革ジャンを
脱ごうとしたけど
『…持ってて 』
それだけ言って
『彼』は今度こそ、走り去ってしまった


