Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜




伏し目がちに現れた表情は、
すぐに私を見て
私もその灰色の視線を
逸らさなかった


「…手 」


そう言ったら
『彼』は黒い、グローブも脱いでくれた



『……… シャツ脱げとか言うなよ』

「いっ!言わないよそんな事!!」


びっくりして怒ると
やっと『彼』が、笑顔になった

『……俺も顔、
見たかっただけだから』




―――胸がホントに痛くなって

そこで搾られた水分が全部
上にあがって来たみたいに
目に涙が溜まって行く


『彼』が緩く曲げた、手の甲で
何度も拭いてくれたんだけど
止まる様子は、全然なくて――


片手で抱きしめてくれた時には

「寂しかった」とか
「私も東京行きたい」とか



今は言っても、どうしようも無い

必死に隠してた言葉を
全部、口にしてしまっていた