床も
黒と白のマーブルな大理石
空気が涼しくて
息がしやすい
私とマキちゃんは
青山さんの後ろに隠れるみたいにして
受け付のお姉さんの前を
頭を下げながら、通過する
―――やっぱり、
子供を見るみたいな笑い顔で
お辞儀を返された
エレベーターを越えて突き当たると
地下へと続く、狭い階段
明るくて、
すごくシーンとした中で
何だか、
建物に入っただけっていうのに
緊張する
後ろから、自動ドアが開く音がして
振り向くと、
『彼』がさっきの入口から入って来た
そしてゴツゴツと
……『彼』のブーツの音がして
私達の横を、腰に手を入れたまま
通り過ぎ
少し速足で、地下階段を、
先に降って行った


