「…会いにいけばいいよ
………葉山!」
それは言葉になっていて
武藤に聞こえていた
私は、首を横に振る
「彼 なんだろう?」
「……私が…勝手に『彼』って
言ってるだけ…」
「その『彼』は、どこにいるんだ?」
「……東京…多分 」
「多分って…」
「……仕事、してるから」
「ああ… そういう意味か
東京ならすぐだろ
…何だったら俺
バイクだし、連れてってやる
少し、待ってろな」
立ち上がろうとする武藤を
引き留めて、再び首を振る
「…会いに行けよ
会わないと、話しになんないぞ?」
「………なの 」
「 え? なに ? 」
「………灰谷、遠矢なの…」
「…灰谷………って 」
「……"CheaーRuu"
…青山さんが…私の言ってた
師匠なの……」
武藤が 腰を抜かしたみたいに
座り込んだ、音がした


