Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜




――― 風の匂いが変わって
目を覚ました


少し、寝ていたみたいで
空気の早さが、ゆっくりになってる


ぼーっと見回すと
道路は広い二車線で、
道に沿って立つ、白くて高いライトと
等間隔の木


その向こうに、ビルが並んでて
デカイ十字路に来た時
レンガで出来たみたいな、
赤茶色の建物があった

ライトアップされてて
縦に建物にならぶ
『日新パワードステーション』のネオン


――東京のコンサートホールだ


その建物をマキちゃんも、
じっと見上げてる


……一度ここで"CheaーRuu"が
色んなミュージシャンとやるって
雑誌で見て
皆で行こう!って騒いでたんだけど
男しかダメみたいなイベントで
開始も結構、遅かったから
うちら四人は涙を飲んだんだ

その明るい建物の前を走って
少し細い道路を走る

コンビニとかお店屋さんが無い
中規模ビルが並ぶ、道に入り
少し静かな、鉄柵と街路樹を過ぎ

真っ暗な中に、窓の明かりが少しと
入口だけ煌々と光る、
コンクリートの地面に入る

そこは駐車場で
青山さんは建物に一番近い、一番奥に
真っ赤なスポーツカーを
ゆっくりと停めた


―― 入口の雨避けの部分に
浮き出しの黒い文字で
"Global Lab"

建物は黒っぽくて、小さなマンション位



「……ししょー
ここもしかして、Globalの会社?」


「いや 本社は赤坂の方のビル
ここはスタジオ」


物凄いピカピカの、自動ドアのガラス

左に観葉植物があって
右には受け付け

大理石で出来たみたいな
マーブルの机の向こうに
スーツを着た、
大人のお姉さんが立ってる


青山さんがお辞儀をすると
お姉さんも笑ってお辞儀をして
机の上に、何か出す


ペンで、それに書き込むと
青山さんは、
そのガラス扉の向こうから


『おいで』と


口で言ったのが解った――