Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜





夕暮れ

"もう少しだから、やってく
暗くなるから先に帰りな"と
武藤に言われ
お礼をして、ユリちゃんと私は
昇降口に、降りた




校庭には
真っ赤な空の下
たくさんの 赤とんぼ


「これ見るとさ〜
運動会とか、体育祭の季節だな〜って
思うよね〜…」

「…うん 」



―― 『彼』も今
この空、見てるかな


それとも学校かな

どっかの地下のスタジオとかで
仕事してるのかな…




駅前に着いて
ユリちゃんが手を振る

私も振り返して、家への道を歩いた


――― コンビニの前で
一度立ち止まって
ポケットから、携帯を出した

家に着いて、荷物を置いて
テレビなんかみたら
またすぐに
電話をかける決心が
鈍る気がして………



ショーウインドーの明かり

最近ベンチが置かれたから
そこに鞄を置いて、座った

ベースを持つのが癖になってて
今みたいに持っていないと
一瞬焦る

もう三年は、夏休みが終わったら
引退だから
あの海以来、ベースは担いでいなくて

今度ドラムも
引き上げないといけないねと
皆で話してた…




"灰谷遠矢"
そう表示された画面を、凝視して
息を吸って、決定ボタンを押した