Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



急行が停まる少し先の、
大きな白い駅を抜け
海水浴場の、長い海岸線が見えて来る

やっぱり花火をしている集団が居て
打ち上げ花火の音がした


長い
灰色の壁がやって来て
オレンジ色のライトがついた
トンネルの中に入る


車の中のBGMは当然、
"CheaーRuu"の物だと思っていたのに
違っていて
あのHeyHey言ってる
夏バンドのエンドレスだった


「ししょー。がー
こういう曲聞くなんて、意外ー!」

「え?!」

「こういう曲!
聞かない感じするー!」

「最近は 聞くようになったよ」

ハッ と
あんまり運転中話し掛けると
なんだなあと気が付いて
席につく


さっきとは、
私とマキちゃんの席は変わっていて
私が青山さんの後ろ
マキちゃんが『彼』の後ろ

『彼』は座席を倒して
横になっているんだけど
マキちゃんに何か話し掛けて
マキちゃんもシートにつかまって
耳を傾ける


マキちゃんは
座席の横のビニール袋から
大きなカチワリ氷のパックを取って
『彼』に渡した



『彼』は前の席で、
なにやらゴソゴソとしていたけど
1番小さいコンビニ袋に
氷を少し入れて腕をあげ、
シートの上から下げる様にして
マキちゃんに、それを落とした


一瞬、
マキちゃんは驚いた顔をしていたけど
すぐ意味がわかって
「ありがとう!」と『彼』に言い
それをハンカチに包んで、目に充てた

青山さんは重ねて
マキちゃんからコーヒーを取って貰う




―― そのやりとりが

三人が綺麗なのも手伝って
自分だけハズレモノみたいな気分になり
もうなんだか、

……………むやみに、凹んだ