一度、美術室に寄って
足りないペンキとか筆を、
取りに行く
「重いから、葉山は筆持って」
「う、うん …わかった」
片手に三つ、ペンキをぶら下げて
片手でまたドアを、開いてくれる
武藤の制服のズボンから
携帯のストラップ
銀のプレートに
『Azurite』と
プリントされている奴だった
「…武藤、『Azurite』、好きなの?」
「え、ああ 」
何故か少し照れ臭そうに
それをポケットの奥に、
押し込んでしまう
「…隠さなくていいのに」
「え、いやぁ
……何か、うん
俺ごときが、カノジョ好きって
なんかさ」
「…アズさん
すごい、"見てくれる人"だよ
俺ごときとか、思う必要、ない。」
「え………
葉山、『Azurite』の
知り合いなのか……? 」
―――武藤の、顔色が変わった
ヤバイ。
アニキに言われてたんだ
"他人に、
アズルと知り合いになったとか
絶対に言い触らすな"って
「い、いや!!ちがくって!
私もずっと、
アズライトのファンだからさー!
そういう人じゃないんじゃないかって
歌とか詩とかで、そう思うんだよねー!」
「……あ…
何だ。そういう意味か」
「そそそそ!!
紛らわしい言い方してゴメンねー!」
「…いや 俺の方こそ
そういや葉山、
バンドやってるんだもんな」
「うん 何で知ってるの?!」
「…何でってオマエ…
最近はあれだけど
ずーっと小せえのが
ベース抱えてハアハア言いながら
登校してくるんだもん
そりゃ解るよ」
「ああー!そっかそっか」
「…俺も一時期ちょっと
やりたかったんだよね」
「エーーッ?!やんなよ!!
スゲー楽しいよ?!
どこのパートやりたいの?!」
「………ベース。」
「うおおおお?!マジで?!」


