――九月末
職員室の前の壁には
就職案内とか、進学
色々な学校のパンフレットが
長い組み立て机の上に
平積みになっている
夏休み前より教室で真剣に
机に向かう姿が、八割を越えた
すぐに体育祭があって、
十月の文化祭も
今年最後
私たちの女子大の推薦入試は
十一月くらいで
作文と面接
今度放課後に、
そのシュミレーション教室を
やるらしい
――― 始業式の日
帰りしな、先生が
『ノッポの子、
ベース戻って来たみたいだな』と
声をかけてくれた
今"CheaーRuu"は
創作活動期間らしくって
ツアー前よりだいぶ
雑誌なんかへの露出が少なくなってる
その代わり
『Azurite』の宣伝は、もの凄くて
朝のテレビでも
駅に貼られたその直後
一斉にポスターが盗まれたと
特集をやっていた
―― きっと原宿や
渋谷の駅、線路の向こうの
大きな看板も
池上さんが撮った
『Azurite』の写真で
埋め尽くされているんだろう
「葉山ーー!!」
呼び声に振り向くと
ちょっと茶髪にパーマをかけた
クラスの男子、武藤だった
私は推薦組
彼は実家の仕事を継ぐというので
半ば強制的に
体育祭の、実行委員をやらされてる
「看板作るの、屋上になったから」
「エーーッ
ベニヤ板、屋上に運ぶの
ダルイじゃーーん!!」
「それなら昨日のうちに
男連中で運んどいたから
平気だって」
「 お 」
「そんでさ うちのクラスで
一応デザイン決まったのあるじゃん」
「うんうん 」
――― 前は、なんか
元々、小さい時から
チビとか、からかわれる事が多くて
同じ学年の男子が
かなりニガテだったんだけど
最近だいぶ、話せる様になって来た


