――気にかかるのは 『彼』だ
後ろを向くと
盛り上がってる皆をよそに
一人だけ頬杖をついて
ずっと、窓の外を見てる……
――― あ
って 事はさ
そりゃ確かに、東京には
映像の事やるためにってのは
あるんだろうけど
…岡田さん、東京に出て来た意味
半分以上、…なくない…?
……青山さんも、アズさんとは
離れちゃって
条件は同じだけどさ…
どうなっちゃうんだろう
…クリスマス頃
アズさんはデビューって言ってた
もしかしたら
『彼』とのクリスマスの遊ぶ約束
無くなるかもしれないな…
でも『彼』は
"出来ない事は言わない"
そうも言った…
――― 緑川さんの口笛で、我に帰る
次にマイク指定されたのは
青山さんで
「俺はいいよ」と
一回断ったんだけど
アズさんが、
『リュウジの"Sea Wind"
聞きたい!!』と言ったら
「…あずるが言うなら 」と
席を立った
緑川さんが
「うはー!!ヤダネこの男は!」と
呆れたみたいに言って
青山さんも
『自分で判ってます。』と笑った
―― アズさんもそうだし
『彼』もそうなんだけど
青山さんも普段話してる時と
少し、声が変わる
"CheaーRuu"でのシャウトとか
そういう以外で
ちゃんとした青山さんの歌を聞くのは、
初だった
「…これ、洋楽?」
隣に座ってるマキちゃんに
聞いてみたんだけど
「……うん 」とだけ言って
青山さんの声に、聴き入ってる
ダメだこりゃ。
次は、緑川さんで
『爆笑虎馬』ってコミックバンドの
"ギプス"って曲
"ある日道に、大腿部の
切っていないギプスが
落ちていた
どうやって 外したんだろう"って歌
"CheaーRuu"は
皆の声質が違ってて
それがすごい、魅力だったりする
この四人がいるからこその
あの音なんだって
ホントに、思うんだ――――


