Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



そして
マキちゃんが
緩く、今まで見た事も無い様な顔で

「……音楽やめるよ」


そう言った


――私は

マキちゃんから
1番出そうに無いその台詞に
言葉を失い、顔を見つめる事も出来ず
そのまましゃがんで、前を向いてた


「…言わなかったけど
夏休み前辺り、
夏季講習、受けろ、受けないから
毎日毎日喧嘩しててね

ユカん所も、
高校受験前にあったみたいだけど
うちは…殴られたりさ
…私も昨日勢いで殴り返しちゃって…

そのまま家、飛び出して
アニキに電話した後
一晩、公園にいてさ

凄い決意を持って
ギター抱えて出た筈なのに
蚊に刺されて、頭来るし
眠るところないし、お腹空くし…

コンビニでお財布出した時
…店員さんがさ
うちの母親くらいで

"これも自分のお金とか思ってたけど
親が…稼いで来たんだなって、
気が付いて…
そんなの当たり前に知ってるのに…

……灰谷さん、レスポールって使う?」


びっくりして顔をあげた

『彼』はマキちゃんが作っている砂山に
花火の棒を、沢山刺してる

『…あれ 真木さんのでしょ
元々』

「…あ そっか
じゃあ、アニキに返せばいいね」

マキちゃんが
あは と薄く笑って、下を向いた時


「じゃあ 俺にくれないかな」


少し離れたトコに座ってた青山さんが
こっちを振り向いて、声をかけて来た