Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



海岸には、
白いパラソルが三つ

建てかけの一個を
青山さんと、赤池さんが作ってる

―――空も青いし

だけど、少しだけ
あれ?と思わせる、
頭を覚ます様な
涼しい空気が混じった、風



準備体操をして

アニキから投げられた
日焼け止めを
アズさんと二人で塗って
手を繋いで、海へと飛び込んだ


青山さんとアニキが
バラソルの下
マットの上に寝転んで
クーラーボックスから
飲み物を出してる


緑川さんは、俯せになって
タオルを頭にかけて爆睡

赤池さんは、
サングラスをかけたアシカみたいに
お腹を拡げて
日焼けの真っ最中


『彼』は、その隣で一緒に
携帯で、
再放送の、午後のドラマを見てる



「…何か、
みんな、若さが足りないなあ!

よし!
ねーねー皆ー!!
ビーチボールあるんだしー
ビーチバレーでもやりませんかー?!」



しばしの沈黙。

――― 皆に一斉に
スゲー、ダルそうな顔をされた




「…ジジィばっか。」

こっそり呟くと
アズさんが吹き出した

そして皆、ムックリ起きた

「…何か言ったか?」

アニキがツカツカと
私目掛けて、海の中へ

「…い、いやー
さすがミュージシャン。
耳がいいなあっ…て
うわあああああ!!」


海の中で、ひっくり返されて
鼻の中にも水が入るし、咳込むわで

アズさんが
「ユカ殿!!助太刀致す!!」と叫んで
アニキにタックルをかました


「アズル テメエ!」

アニキは
海中に引きずり込まれた後
海面に浮き上がって来て
犬みたいに頭を振る

私はアニキもアズさんに
いつもの如く、
仕返しすると思ったんだけど

腰から抱え上げ
アズさんもアニキの肩に
手を回して、立ち上がった


「………旗がある」


「あれ以上、
向こうに行ったらダメって旗だ」

「…行くとどうなるの?」

「行って試して来てやろうか」


「……クウヤ? 」